経営企画室 IT事業部 次長・大場伸二様(2011年1月7日)
大場様:海運を中心とした物流にかかわる業界に向け、日刊の総合物流紙を発行しております。
電子部品や医薬品など付加価値が高いものに関しては航空機が主流ですが、量的にみると日本の輸出入貨物のほぼ100%は船舶が担っているんですね。船舶がないと、食料や資源などを輸入できない。また、日本で作った工業製品を海外に輸出することもできない。つまり日本経済のライフラインである物流に携わる人たちが私たちのお客様です。
購読者層は海運業のほか、港で荷物の積み下ろしをする港運業、倉庫業、船や航空機を使って輸送サービスを提供するフォワーダー業、荷役機器メーカー、船を造る造船業、船の部品メーカー。それに、金融機関、国土交通省や地方自治体などのお役所も多いです。来年で創刊70周年。おかげさまで総合的な物流にかかわる業界紙としては、クオリティペーパーという評価をいただいています。
電子ブックを検討された背景をお聞かせください
大場様:当社では「マリナビ」というウェブサイトで、日本海事新聞のデータベースを提供・販売しています。
紙面のみだと、時間的かつ距離的な制約がどうしても生まれてしまいます。
そういった制約を乗り越え地方や海外のお客様に対して、より充実したサービスを提供するため2001年に作ったのがマリナビです。
データベースと言いましたが、ActiBookを導入する以前から出来上がった紙面をPDF化して掲載していました。ある記事だけを切り抜いて販売する、いわゆるクリッピングサービスというものです。
しかし、対象となる記事は3段以上の大きいものだけで、それよりも小さいものはPDF化の対象となっていませんでした。
そういった小さい記事を読みたい、また広告が見たいというユーザーからの要望が多くありました。
つまり、テキストだけでなく新聞全体を見たいという新聞読者のニーズに応えられていなかったんです。
それに加え、ここ一年くらいでスマートフォンや電子書籍端末でも新聞が読めるようになってきました。
この2点に何らかの対策を講じなければならないと思っていました。
2010年7月、マリナビ上に電子ブック形式で紙面を一覧できる「紙面ビュー」というサービスを新設したのはこういう理由からです。
他社の電子ブック製品と比較されたのですか?
そのなかから、ActiBookに興味を持たれた理由は何ですか?
大場様:はい。3、4社ほど比較検討しました。そのなかからActiBookを選んだ理由は3つあります。
1つめは、新聞社の導入事例が非常に多かったことです。 大判の新聞にも対応したソリューションである、という印象を持ちました。また、出版・印刷業界の実績も多くて安心でした。
2つめは、拡大したときにマウスのホイールが使えるということ。
新聞は文字が縦組みですから、上下の移動を頻繁にします。そこでマウスのホイールが使えるかどうかは、顧客視点でとらえたときに大事なポイントだと思っていました。
3つめは、スターティアラボさんがスマートフォン対応のソリューションをとても早い段階から持っていたことですね。
弊社がスマートフォン対応を展開するとき、有利になるのではないかという期待を込めました。
実運用はどうご利用いただいていますか?成果などもありましたらお願いします。
大場様:ActiBookは操作が非常に簡単ですね。
弊社では毎日6面をDTPで制作しています。まず、上がってきた紙面のDTPデータをPDF化します。次にそのPDFデータを一つのファイルにまとめるんです。最後は所定のフォルダに入れてボタンを押すだけ。マニュアルだと複雑な作業ですが、作業手順を記憶して自動処理してくれる機能があるので助かります。
当初は、作業に5分?10分くらいの時間がかかるのではないかと懸念していましたが、まったく時間がかかりません。
ストレスを感じることなく誰でも簡単に操作できるので、非常に満足しています。
今後、ActiBookを活用して新たな事業展開のお考えはありますか?
大場様:縮刷版としての可能性ですね。弊社は業界紙とはいえ日刊なので、毎年220?230日分の新聞を発行しています。現在は社内に資料として物理的に保管していますが、当然ながら劣化します。 ActiBookで作ったデータを集積し、DVDなど記憶媒体のかたちでデジタル保管し、さらにそれらを販売していくことも模索しています。
ActiBook・スターティアラボへのご希望などありましたらお願いします。
大場様: 今後はスマートフォン対応がカギになると考えています。
5年前からマリナビも携帯サイトを用意していますが、現状のサイトだと携帯電話では非常に使いにくいんです。
たとえば、クッキーが使えないのでID・パスワードを保存できなかったり…。
PCユーザーが多い現状では気に留めることはなかったのですが、スマートフォンがこれだけ普及してくると状況が変わりますよね。昨年春の時点では、Flashが使えないiPhone、iPadのためだけにスマートフォン向けソリューションを導入するのに抵抗があったんですが、年末にはアンドロイドOSの機種もたくさん出てきてユーザー環境が広がってきました。
アンドロイドならFlashが使える機種もありますが、PC用のコンテンツがそのままスマートフォンに展開できるわけではありません。
使い勝手が悪いケースもあり、やはりデバイスに適したサービスが必要です。
そういった意味で、ActiBookのスマートフォン対応ソリューションには期待しています。
本日は、ありがとうございました!