石川様:当社は2012年に設立したばかりの静岡の出版社で、紙の出版物はもちろん、電子ブックの出版も行います。
代表の私は、かつて静岡新聞社の編集局長、出版担当局長などを勤め、新聞の編集や出版物の企画などを手がけていました。
出版不況といわれる時代ですが、本は「人の思いがこもった商品」です。静岡新聞を退社後、「自費出版のお手伝いをしよう」と心に決め、ミーツ出版を設立。
2013年には、誰もが気軽に出版できる電子ブックポータルサイト「電本館」を立ち上げました。
電子ブックを活用した「電本館」を立ち上げたきっかけを教えてください。
石川様:地方の中小企業がブランディングツールとして活用できるプラットフォームをつくりたい、という思いがありました。
SNSを活用して自社ビジネスをブランディングしている企業もありますが、うまくアピールできていないケースが非常に多いです。
これでは、その会社の実力も伝わらないし、お客様になる人からの信用も得られないからビジネスチャンスに結びつかない。
ならば、本を書いて自社をアピールしませんかと。本は個人でも会社でも、自らの実力を示すのにふさわしい媒体です。
ただ、出版には、おカネがかかって敷居が高いというイメージがあります。
そこで圧倒的に価格を下げられる出版ツールはないかと目に付けたのが、電子ブックでした。
もう一つ、電子ブックの実情に疑問を感じていたことが挙げられます。いま市場で公開されている多くの電子ブックは、紙の出版物を焼き直した作品がほとんどです。
書店では1,500円くらいで売られている本を、100円~200円の電子ブックにして売っている出版社もありますよね。
このような、大切なコンテンツを安売りするツールと化した電子ブックの実情に、疑問を感じていました。
私たちが目指していたのは、紙の出版物を焼き直すのではなく「紙の書籍にもすぐ転換できる“コンテンツ力” がある電子ブックを出版する」こと。
そんなプラットフォームを目指して立ち上げたのが、「電本館」でした。
「電本館」にはActiBookを活用いただいていますが、ActiBookのメリットとは何だと感じていますか?
石川様:
紙の書籍と同じものがつくれることですね。
いまお話ししたように、私たちが出版する電子ブックは、最終的に紙の出版物にもなり得ることを目指しています。
ActiBookはPDFから電子ブックを生成するツールですから、そのデータ(PDF)を紙の出版物にも使い回せます。ActiBookは、当社が目指す方向性と一致したツールだったのです。
PDFが生成できれば本が作れる。ということは、ワードやパワーポイントで作成した資料でも本になる。 電本館で電子ブックを出版している著者にこの話しをしたら、みなさん驚きましたね。 実は、私もセミナーや講演会で使ったパワーポイントを元にフェイスブックに関する電子ブックを出版しています。それくらい、ActiBookは本が容易につくれるツールなんです。
また、ActiBookはカラーが圧倒的にきれいだというのも魅力ですし、HTML5に対応していますからあらゆるデバイスで閲覧できることも、他のツールより優れています。
「電本館」の運用について、もう少し詳しく教えていただけますか?
石川様: 「電本館」の大きな特徴は、著者をアピールするサイトだということです。無名の人や会社をブランディングすることが目的ですから。 もちろん本もアピールしますが、著者自身を売り込むことが大切、という気持ちが強く現れたサイトです。
著者には、綿密な打ち合わせを重ねた上で魅力ある本を執筆していただいています。
それと並行して、私たちは「著者ページ」という一種のホームページを電本館のサイト内に作成します。
ここではプロフィールの紹介や動画コンテンツの掲載、それに自分の著書を販売することもできます。
著者ページでは、本に関連する商品の販売も可能です。例えば、酒屋のオーナーがワインの本を出したらついでに自店で扱うワインを販売したり、
セミナーや講演会を開いている方ならチケットを販売することもできます。
売場を持てるというのは、自費出版をされる方にとって大きな魅力です。 自分の名刺などに、その売場(サイト)のURLを記載するなど周知させることが直接売上につながりますし、 当社としてはアクセス数が増えるといったメリットがあります。
ActiBookについて、著者の方の反応はいかがですか?
石川様:
カラーがきれいだねと、著者にもActiBookは好評ですね。
発色のいい仕上がりは、写真や絵を多用する本の場合には大きな魅力になります。
そのほか、目次リンクや動画・音声が付加できることを説明すると、たいへん喜びますね。紙の本ではできないことですから。
出版後に追加したいコンテンツを簡単に増刷(更新)できるというのも、電子ブックならではの特徴でしょう。
▲『秀樹さんが教える まだまだ奥が深い Facebookの教科書』(石川秀樹・著)より
ActiBookを活用した今後の展望を教えてください。
石川様: まだサイトを立ち上げて間もないので、今は著者と電子ブックを増やしていくことに注力しています。今後3年で著者100人、作品数は300冊くらいを目標としています。
そのためには、電本館が周知される活動を続けることも大切ですし、「電子ブックを買う習慣」を読者の側にもっていただくことも重要だと思います。
本の楽しみの一つに、「書き下ろし作品」を読むことがありますよね。著名な作家さんが新作を出版するときなど、愛読者には待ち遠しく感じます。
こうした魅力を電子ブックにも植え付けていかなければ、「電子ブックを買う習慣」はできていかないのかなと思います。
電本館では、私たちの思いを共感いただいた著名な作家さんに、未発表の書き下ろし作品を執筆していただいています。 新たなスター作家も見つけ、一緒に進化していきたいんです。3年間でこうした取り組みをいくつか実現したいと思っています。
ただ、私たちの目的は「紙の書籍にする価値のあるコンテンツを出版すること」です。スタートは無名でいいんです。 多くの人が読みたいと思えるコンテンツ作りを私たちは全力でアドバイスしていきます。まずは著者の信用を構築、 その上でさらにメジャーデビューや作家になるという目標があるなら、その第一歩に電本館を使い倒してもらう、それが私たちの本懐です。
本日は、ありがとうございました!