片平様:当社は、チラシ・パンフレットなどの商業印刷やビジネスフォーム印刷を得意とする総合印刷会社です。本社工場のほか、工場が県内に2箇所、福島県内をはじめ営業所のある仙台市、さらには首都圏にも活動の場を広げています。
近年は、ビジネスフォームの印刷を始め、フォーム内への印字・封入・宛名印刷・投函までをワンストップで請け負う「データプリントサービス」にも力を入れております。
電子ブックを検討することになったきっかけを教えてください。
片平様:3~4年ほど前に電子書籍制作についての社内調査を行い、試験的にEPUB形式で10冊ほどの電子書籍を制作したことがありました。
その結果、当社が強みとする商業印刷(パンフレットやチラシ)の場合、リフロー型のEPUBよりラスタライズ型のほうが適していると気付きました。
また、電子ブック作成のためにEPUBのような新技術の習得に手間と時間をかけるのではなく、手軽にオーサリングでき、なおかつインターネットを通して電子ブックを提供できるような電子ブック作成ソフトが最適ではないかと考えました。
ActiBookをお選びいただいた理由を教えてください。
片平様:お客様の方からActiBook指定で電子パンフレット作成の依頼が入ってきたのが、きっかけです。それからActiBookが、印刷会社への導入実績が多数ある電子ブック作成ソフトであることを知り、印刷会社にとってのツボが押さえられたソフトなのだろうという印象を受けました。
当初、導入はせず、制作代行を依頼する形で、電子パンフレットなどを10点ほど作成しました。しかし、その方法だと、依頼から納品までのタイムラグがあるなど、仕事がスムーズに回っていかなかったのと、サンプルを作ってクライアントへどんどん提案していきたいと考えた結果、導入を決定しました。
導入するにあたって、他社製品1点との比較を行いました。最終的に、ActiBookを選んだのは、アクセス解析ができる点です。アクセス解析ができれば、印刷物の改善につなげることができると考えました。また、ビューアの操作性が良いことも決め手となりました。
実運用はどのようにご利用いただいていますか。
片平様:ActiBookを導入してまもなく、導入検討段階から構想を持っていた電子ブックポータルサイト「PokeBoo(ポケブ)」を立ち上げました。
これは、もともと当社の制作物の作品集として企画したものが出発点でした。そこから、徐々に“お客様の印刷物を掲載することで、広報のお手伝いをしよう”という方向へシフトしていき、最終的にポータルサイトというところへ落ち着きました。
電子ブックを差し替えるだけで内容を更新できるので、「PokeBoo」へリンクを貼っていただくことで、お客様のWebサイト更新の手間を省いて差し上げるという狙いもあります。お客様の中には、システムの関係などで電子ブックをアップロードできないというケースもあります。そういうお客様にもご好評をいただいております。
東日本大震災後に落ち込んでしまった福島の観光復興を支援したいという気持ちから、当社で制作したものに限らず、観光関連のパンフレット類も積極的に掲載しています。
実際に運用してみて、感想や効果などがあれば教えてください。
片平様:既存のお客様へ印刷物への付加価値として電子ブックをご提案して喜ばれています。ActiBook導入前は、印刷をして納めるだけだったところが、今では、印刷物+電子ブック(「PokeBoo」への掲載、または、電子ブック納品のいずれか)で納品できるようになりました。「PokeBoo」へのアクセス数も、毎月、前月比1.2倍で伸び続けています。
電子ブック単体での案件もあります。Webサイト上からID/パスワードでログインしたユーザーのみがダウンロードできる営業ツールを作成した案件では、重たいカタログを何冊も持ち歩かなくて済むようになり労力が減ったと好評でした。
また、他社さんで印刷物を作られたお客様が、その印刷会社では電子ブック作成に対応していなかったため、Webサイトへの掲載用として当社に依頼されたケースもありました。
他に、印刷物+電子ブックの提案をコンペで行ったところ、そのコンペを勝ち取れたということもありました。紙の資料のほかに電子ブックサンプルをダウンロードしたiPadを使用してプレゼンを行えるため、他社に差を付けることができたようです。
電子ブックの作成のしやすさはいかがですか?
片平様:導入後、実際にActiBookを利用してみて、次の点に魅力を感じています。
1. オーサリングが手軽である
2. 対応デバイスが多く、さらにどんどん増えていく
3. ヒートマップ機能(よく閲覧されている箇所が可視化できる)
オーサリングは、3名体制で行っています。ファイル名を付け、読み込んで書き出すだけなので、とても手軽に作成することができますね。
導入後、作成した電子ブック数はサンプルも含めるとおよそ300点。使いやすさを考え、必ずテキスト目次を入れるという点が当社のこだわりです。アクセス解析機能もほぼすべてのブックに対して付加し、次の印刷物への改善につなげるため月に1回のペースで社内でチェックしています。
電子ブック作成の経験を積む中で、様々なノウハウも蓄積されてきています。例えば、観光案内リーフレットに多い、複雑な折りがあるものの場合、ページ物のパンフレットとは違い、そのまま電子化すると読みやすいページ順に仕上がりません。そういった媒体をどのようにして見やすく電子化するかといった工夫などを日々試しています。
サポートも頻繁に利用しています。特に新機能が追加された際には、どんな機能なのかということを詳しく教えてもらっています。
導入から日が経つにつれ、良く使う機能が決まってきてしまうので、機能の活用を見直す良いきっかけになっています。
ActiBookを活用した今後の展望があれば教えてください。
片平様:「PokeBoo」を軸に、作成した電子ブックを見てもらえる機会を多く作っていきたいと考えています。
福島県内では、まだ電子ブックに力を入れている企業は少ないように感じています。もっと電子ブックについて知ってもらうきっかけを作っていきたいですね。
電子ブックを見てもらうことで、その印刷物の価値も高まると考えています。電子ブックが、印刷物をうまく使っていただくためのツールにもなり得るのではないかと思っています。
もう一つは、全国の方に、インターネットを通し、福島県の素晴らしさを知っていただくツールとして、観光パンフレットの電子ブック化と掲載を推進していきたいと思っています。
観光パンフレットの掲載に際し、写真の著作権の問題で掲載できないものもあります。電子ブックがもっと浸透していけば、制作の段階から電子ブック化を視野に著作権などもクリアしていけるのではないかと思います。
手軽に見たいときは、インターネットと電子ブックで。そして、観光に訪れるなどして、実際の印刷物を見た時に「印刷物はこういう風に工夫されているんだな」と違いを楽しんでいただけるまでになればと思います。
ActiBook導入を検討されている同業の印刷会社様へのメッセージをお願いします。
片平様:印刷会社だから印刷物を提供すれば良い、という考えでは生き残れない時代です。かといって、ただ電子ブックを提供できれば良いということでもないと思うんです。もっとお客様のためになる、付加価値のあるサービスの提供が印刷会社には求められている。その中で、ActiBookの導入が、 “お客様のために何ができるか”ということを本質的に見つめ直す良いきっかけを作ってくれると思います。
本日は、ありがとうございました!